「毛穴が目立つので、引き締める化粧品を探しています」
そう言われたとき、私が最初に確かめたいのは、その毛穴がどのタイプかです。
なぜなら——毛穴が目立つ原因は、少なくとも3つあり、それぞれ効く手が違うからです。
2016年に報告された総説は、顔の毛穴が目立つ主な臨床的原因を、次の3つに整理しています(PMID: 26918966)。
| 原因 | 何が起きているか | |---|---| | ① 皮脂の過剰な分泌 | 出口が押し広げられ、影ができる | | ② 毛穴まわりの弾力の低下 | 支えが緩み、開口部が縦に伸びる | | ③ 毛包の容積の増加 | 穴そのものが大きくなっている |
そして同じ総説は、こう続けます。
慢性の反復性ニキビ、性ホルモン、スキンケアの方法も毛穴の大きさに影響しうる。 原因がさまざまであるため、治療は個々の患者に合わせる必要がある。
さらに正直な一文もあります。
毛穴が目立つことは医学的な問題ではないが、非常に多くの人にとって美容上の関心事である。しかも、明確な定義と考えられる原因は、まだ解明されていない。
この領域は、そもそもよく分かっていない。 そこから始めましょう。
皮脂タイプ ——季節で動くのは、これだけです
特徴- Tゾーン、小鼻のまわりに集中している
- 朝より夕方に目立つ
- テカリと同時に気になる
- 気温が上がる時期に悪化し、涼しくなると落ち着く
「夏だから毛穴が開く」で説明できるのは、この①だけです。 気温が上がれば皮脂の分泌は増えます。だから季節で行ったり来たりするタイプは、まずここ。
打ち手- ナイアシンアミド — 67名の二重盲検試験と、41名を対象とした試験で、皮脂量の減少が報告されています。詳しくはナイアシンアミドの記事へ
- レチノイド — 角化の異常を整える方向に働きます
- 洗いすぎない。 皮脂を取りきると、かえって分泌が戻ってきます
- ホルモンの背景があることも。 生理周期に連動する、あご中心に出るなら、ピルの記事もあわせてお読みください
このタイプは、季節が変われば軽くなります。 夏のいちばん悪いときの状態を見て、高額な施術を決めないでください。
弾力タイプ ——季節と関係なく、少しずつ
特徴- 頬に、涙のしずくのような縦長の形で見える
- 上を向くと目立たなくなり、下を向くと目立つ
- 皮脂は多くない
- 年々、じわじわ増えている
これは、毛穴そのものではなくまわりの支えの問題です。真皮の弾力が落ちて、開口部が重力方向に引き伸ばされている。加齢と、光老化が背景にあります。
打ち手- まず遮光です。 903名を4年半追った無作為化試験で、毎日の日焼け止めが皮膚老化の増加を抑えました(PMID: 23732711)。この記事へ
- レチノイド — コラーゲンに働きかける方向
- 機器治療 — ただし、ここは正直にお伝えします
毛穴を主要な評価項目に置いた、まとまった比較データを、私は挙げられません。 針と高周波を組み合わせた機器について調べた際も同じでした(マイクロニードルRFの記事に書いたとおりです)。真皮のコラーゲンが増えれば毛穴の縁が持ち上がる、という機序は理解できます。けれど「機序として説明できる」ことと「比べて確かめられている」ことは違います。
「毛穴に効く機械」として勧められたときは、何と比べてどれだけ良かったのかを聞いてください。
毛包タイプ ——ニキビの跡としての毛穴
特徴- 頬やこめかみに、丸く、境界のはっきりした穴として見える
- ニキビを繰り返した場所と一致する
- 触るとわずかに凹んでいる
これは、慢性の炎症を繰り返した結果、毛包そのものの容積が増えた状態です。上の総説も、慢性の反復性ニキビが毛穴の大きさに影響しうると挙げています。
このタイプで最も大事なのは、「毛穴のケア」ではなく「ニキビを繰り返させないこと」です。
日本皮膚科学会の『尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023』は、炎症が軽快したあとの寛解維持について、アダパレン0.1%ゲル、過酸化ベンゾイル2.5%ゲル、その配合ゲルの3つに推奨度A(強く推奨する)を与えています。瘢痕を「作らせない」ほうに、最も強い推奨がついているわけです。
そして、境界がはっきりして凹んでいるなら、それはもう毛穴ではなく瘢痕かもしれません。型の見分けはニキビ跡の3類型へ。
見分け方 ——鏡の前で3つだけ
- 朝と夕方で違いますか? → 違うなら①皮脂タイプの要素が強い
- 上を向いたら目立たなくなりますか? → なるなら②弾力タイプ(重力で伸びています)
- 昔ニキビがあった場所と一致しますか? → するなら③毛包タイプ
多くの方は、混ざっています。 それでいいのです。混ざっていると分かることが、すでに前進です。 「毛穴」とひとまとめにしていると、ずっと違う打ち手を試し続けることになります。
やってはいけないこと(3タイプ共通)
- 押し出す・引き抜く — 一時的に取れますが、周囲の組織を傷めて穴を大きくする方向に働きます。②と③を悪化させます
- ゴシゴシ洗う・スクラブを毎日 — 皮脂を取りきると分泌が戻り、バリアを削れば炎症が起きやすくなります
- 拡大して見つめる時間を、少しだけ減らす — 拡大鏡やインカメラでは、実際より深刻に見えます。人があなたを見ている距離で、確かめてみてください
- 夏のいちばん悪い状態で、長期の契約を決める — ①の要素があれば、涼しくなると軽くなります
角栓については
「毛穴の黒ずみ」の正体が角栓であることも多いのですが、これは別の話になります。オイルで溶けるのか、どう扱うべきかは、クレンジングの記事に書きました。
ひとつだけ書いておくと——角栓を取り除いても、穴は残ります。 ①②③のどれにも手を付けていないからです。取ることに時間を使うより、なぜ詰まるのかに手を付けるほうが、結果が続きます。
まとめ
- 毛穴が目立つ主な原因は3つ。①皮脂の過剰分泌 ②毛穴まわりの弾力低下 ③毛包の容積増加(PMID: 26918966)
- 同じ総説が「明確な定義と原因はまだ解明されていない」とも述べています。 よく分かっていない領域です
- 「夏だから毛穴が開く」で説明できるのは①だけ。 ②③は季節と関係なく進みます
- ①は皮脂を減らす方向(ナイアシンアミド・レチノイド)。季節で軽くなるので、夏の最悪の状態で高額な契約をしない
- ②は遮光とレチノイドが土台。毛穴を主要評価項目に置いた比較データを、私は挙げられません
- ③で最も大事なのは、「毛穴のケア」ではなく「ニキビを繰り返させないこと」。ガイドラインで推奨度Aがついているのは寛解維持の外用薬です
- 押し出さない。ゴシゴシ洗わない。拡大して見ない
毛穴には、原因が3つあります。どれに向き合っているかで、効く手が変わります。
まず、ご自分がどのタイプかを知る。そこから、道が選べるようになります。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医学的判断に代わるものではありません。凹みを伴う場合は瘢痕の可能性があります。自己判断せず、皮膚科にご相談ください。
参考文献- Facial Pores: Definition, Causes, and Treatment Options. Dermatol Surg. 2016. PMID: 26918966
- Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial. Ann Intern Med. 2013. PMID: 23732711
- 日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023(CQ27〜29)
※ 本記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品・治療をおすすめするものではありません。 効果には個人差があります。実際の判断は主治医とご相談ください。

※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療アドバイスではありません。 効果には個人差がございます。具体的な治療については専門医にご相談ください。

