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ニキビ自体はもう治っているのに、凹みだけが残ってしまった。ファンデーションを塗っても、光の角度で影が出てしまう。
そのお悩みは、とてもよく分かります。 そして、いちばんお伝えしたいのは——「ニキビ跡」とひとことで呼ばれているものは、実は3つの違うものが混ざっている、ということです。
種類が違えば、原因も深さも違います。だから、同じ治療では届きません。 ここを知っていただくだけで、治療の選び方がまったく変わります。
まず、お伝えしたい大切なこと
- ニキビ跡の凹みは、大きく3つの型に分かれます
- 型によって、深さも、できるしくみも違います
- ★下に引っ張られてできる型があります。 これは表面をなめらかにするだけでは戻りません
- 多くの方は、3つが混ざっています。だから治療も組み合わせになります
- 茶色い跡と、凹みは、別のものです。混同されがちですが、対処が違います
美しさを紐解く、専門医の視点
3つの型
アイスピック型は、名前のとおり、細い錐で刺したような、小さく鋭い跡です。開口部はごく小さいのに、深さがあります。 真皮の深いところ、ときには皮下組織まで届いています。ニキビ跡の中では最も多いタイプで、同時に最も治りにくいタイプでもあります。
ボックスカー型は、少し広めで、底が平らな凹みです。輪郭がはっきりしていて、断面はU字型。浅いものと深いものがあり、浅いものは比較的反応しやすいのが特徴です。
ローリング型は、ほかの2つより広めで、境目がぼんやりしていて、波打つように見えるのが特徴です。ここが大切なところなのですが——ローリング型の凹みは、組織がなくなってできているのではありません。
★ローリング型は「引っ張られて」いる
ローリング型の下には、皮膚の表面と深い層をつなぐ、繊維の束ができています。この繊維が下方向に引っ張ることで、表面が沈んで見えている。
つまり、表面をなめらかに整える治療をどれだけ重ねても、引っ張っている繊維がそのままなら、また同じところが沈みます。
「レーザーを何回も受けたのに、ここだけ戻らない」——そういうご相談を受けることがありますが、型を見誤っていることが少なくありません。
だから、治療の組み方が変わります
深いところに届かせる必要がある型。表面を作り直す必要がある型。引っ張りを外す必要がある型。 求められることが、それぞれ違います。
だから実際の治療は、ひとつの機械で全部を解決するのではなく、組み合わせて設計することになります。実際、いくつかの方法を組み合わせたほうが、単独で行うより成績がよいことが、複数の研究で確認されています。
肌の色によって、選び方が変わります
もうひとつ、日本人にとって大切な話があります。
私たちの肌は、強い刺激のあとに色素沈着を起こしやすいという性質を持っています。せっかく凹みが改善するなら、新しい色素沈着は残したくない。
そのため近年は、色素沈着を起こしにくい方法が選ばれるようになってきました。効果を保ちながら、色素沈着のリスクを下げる。この視点が、日本人の肌には欠かせません。
「いちばん効く治療」ではなく、「あなたの肌で、いちばん結果が残る治療」を選ぶ——それが、私の考える設計です。
あなたの不安に寄り添って
Q. 自分の跡がどの型か、見分けられますか?
おおまかな目安はあります。明るい光を斜めから当てて、影のできかたを見てください。細く鋭い影ならアイスピック型、輪郭のはっきりした四角い影ならボックスカー型、ぼんやりと波打つ影ならローリング型です。
ただ、多くの場合は混在しています。診察では、光の当て方を変えながら、部位ごとに分けて評価します。
Q. セルフケアで治りますか?
正直に申し上げると、凹みそのものを化粧品で戻すことは難しいです。
ただし、これ以上増やさないことはできます。いま炎症が続いているなら、それを抑えることが最優先です。新しい跡を作らないことが、いちばん確実な「跡の治療」です。
Q. 何回くらいかかりますか?
型と深さによりますが、1回では終わりません。 複数回、間隔をあけて重ねていくことになります。
そして正直に申し上げると、「完全に元通り」を目標にはしません。 そこを約束する治療を、私は知りません。目指すのは、光が当たっても影が出にくい状態です。それでも、見え方はずいぶん変わります。
Q. 茶色い跡も、同じ治療で消えますか?
いいえ、別のものです。 茶色いのは色の問題、凹みは形の問題。原因が違うので、対処も変わります。
そして茶色い跡は、時間とともに薄くなっていくことが多いものです。焦って強い治療をすると、かえって濃くなることもあります。ここは順番が大事です。
最後に、心を込めて。
ニキビ跡のご相談は、すでに何年も悩んでこられた方が多いです。いくつものクリニックを回って、いろいろ試して、それでも変わらなくて。
そういうお話を伺うたびに思うのは、多くの場合、努力が足りなかったのではなく、型に合っていなかったということです。
まず、あなたの跡がどういう跡なのかを、一緒に見るところから始めましょう。そこが分かれば、道筋は立ちます。

※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療アドバイスではありません。 効果には個人差がございます。具体的な治療については専門医にご相談ください。


