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Skincare2026-06-07

家庭用美顔器は、どこまで確かめられているか|LED・RF・EMSで、根拠の量がまったく違います

Dr. みやか

Dr. みやか

9 min read

「家庭用の美顔器って、効きますか」

「美顔器」と一括りにすると、答えられません。中身によって、確かめられている量が、まったく違うからです。

PubMedで探した結果を、そのまま並べます。

LED(光) — 偽機器と比べた無作為化試験が、複数あります RF(高周波) — 家庭用のものは、1本しか見つかりませんでした EMS(電気で筋肉を動かすもの)1本も見つかりませんでした


①LED — ここがいちばん、調べられています

60人・16週間・偽機器対照の二重盲検試験があります(PMID: 39960921)。

630nmのLEDと850nmの赤外線を出すマスク型の機器と、見た目が同じで光の出ない偽の機器を比べたものです。

8週・12週・16週の各時点で、目尻のしわのスケール(CFGS)に有意差が認められた。 独立した評価者による改善率は86.2%(対照群との差 69.5%)。

偽機器対照の二重盲検——これは、この分野ではしっかりした設計です。

ただし、対象は「目尻のしわ」だけです。顔全体が若返ることを示した試験ではありません。

②同じLEDで、逆の結果も出ています

95人・偽機器対照の二重盲検試験(PMID: 40167796)。赤色LED(660nm)のマスクを、週3回の群・週2回の群・偽の群で4週間比較しました。

結果が、評価方法によって分かれました。

専門家3名によるしわ評価スケール(WAS)では、群間に有意差は認められなかった。 画像解析ソフト(ImageJ)による計測では、眉間と右眼窩周囲のしわの長さが、偽群と比べて有意に減少した(p < 0.001)。 満足度(FACE-Q)は、週3回で79.6%、週2回で73.4%と、いずれも偽群より有意に高かった。

「人が見て点をつけると差がない。ソフトで長さを測ると差がある。本人の満足度は上がる。」

これは、この分野を読むうえで、いちばん大事な現象だと思います。「効いた」と言えるかどうかが、何で測るかに依存しています。

もう1本(PMID: 28195844)。52人で赤色LEDと白色LEDを12週比較したものです。

両群とも、皮膚レプリカによるしわの計測はベースラインから有意に改善した。 しかし、盲検化された皮膚科医の評価では、両群に有意差は認められなかった。

この試験には、光を当てない対照群がありません。「両方とも良くなった」が「光のおかげ」かどうかは、この設計では分かりません。

なお、①の試験は「4週で週2回」でも満足度に差が出ています。毎日長時間やる必要は、少なくとも示されていません。

③RF(高周波)— 家庭用は、1本だけでした

「家庭用 × RF × 顔 × 無作為化試験」で検索して、出てきたのは1本です(PMID: 26963615)。

50人(30〜70歳)⁠。眉のあたりのたるみを対象に、家庭用の単極RF機器を使用。 眉から生え際までの距離が、1.338 ± 0.170 cm 短縮した(プラセボ・ベースラインの双方に対して有意)。 1回の施術は約6分。

ここは、慎重に読む必要があります。
  • 著者3名全員が、Farcoderm S.R.L.(受託試験を行う会社)の所属です
  • 「1.3cm」という数字は、家庭用機器の効果量として、かなり大きいものです
  • そして、この結果を追試した研究が見当たりません

1本だけで、しかも独立した追試がない——これが、家庭用RFの現在地です。

クリニックで使う機器とは、出力も設計も別のものです。 クリニックで使う高周波や超音波の機器については、マイクロニードルRFの記事HIFUの記事に書きました。家庭用の結果を、そちらに読み替えることはできません。

④EMS — 見つかりませんでした

「電気で表情筋を動かす」タイプの機器について、PubMedで検索しました。

顔の美容目的での臨床試験は、1本も出てきませんでした。

「効かない」という意味ではありません。「確かめた報告が見当たらない」という意味です。この2つは違います。

ただし、選ぶときの材料としては、①②のLEDとは、置かれている場所がまったく違います。

⑤では、どう選ぶか

根拠の量で並べると、こうなります。

| | 確かめられている度合い | 注意点 | |---|---|---| | LED | 偽機器対照の無作為化試験が複数 | 評価方法で結論が変わる。 対象は目尻など部分 | | RF(家庭用) | 1本のみ | 著者全員が受託試験会社所属。追試なし | | EMS | 見当たらない | 「効かない」ではなく「確かめられていない」 |

そして、どれについても言えることが1つあります。

このどれよりも、日焼け止めのほうが、はるかに大きな試験で確かめられています。 903人を4年半追跡した無作為化試験で、毎日の使用が皮膚の老化を有意に抑えました(PMID: 23732711)。詳しくは日焼け止めの記事へ。

美顔器を買うことと、日焼け止めを毎朝塗ることは、両立します。どちらかを選ぶ話ではありません。

⑥買う前に、確かめておくとよいこと

  • その機器の「どの部位」で試験されているか(①は目尻だけでした)
  • 偽の機器と比べているか(比べていない試験では、光のおかげかが分かりません)
  • 誰が試験をしたか(③は著者全員が受託試験会社でした)
  • やけど・目への影響について、説明書にどう書かれているか(光も高周波も、エネルギーです)
  • 続けられる頻度か(②では、週2回でも満足度に差が出ています)

まとめ

  • 「美顔器」を一括りにすると、答えが出ません。 LED・RF・EMSで、根拠の量が違います
  • LEDには偽機器対照の無作為化試験が複数あります(PMID: 39960921・40167796)
  • ただし、専門家のスケールでは差が出ず、画像解析と満足度では差が出た試験があります(PMID: 40167796)
  • 光を当てない対照のない試験もあります(PMID: 28195844)
  • 家庭用RFの無作為化試験は1本のみで、著者全員が受託試験会社所属、追試も見当たりません(PMID: 26963615)
  • EMSは、顔の美容目的の臨床試験が見つかりませんでした
  • 「確かめられていない」は「効かない」ではありません
  • このどれよりも、日焼け止めのほうが大きな試験で確かめられています(PMID: 23732711)

「効きますか」への答えは、「何の美顔器ですか」から始まります。


本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医学的判断に代わるものではありません。家庭用機器は製品ごとに出力も設計も異なり、本文の試験結果が個々の製品に当てはまるとは限りません。使用前に取扱説明書をご確認ください。皮膚疾患の治療中の方、ペースメーカーなど体内に医療機器を植え込んでいる方は、必ず主治医にご相談ください。

参考文献
  • Clinical study to evaluate the efficacy and safety of home-used LED and IRED mask for crow's feet: A multi-center, randomized, double-blind, sham-controlled study. Medicine (Baltimore). 2025. PMID: 39960921
  • Role of photobiomodulation application frequency in facial rejuvenation: randomized, sham-controlled, double-blind, clinical trial. Lasers Med Sci. 2025. PMID: 40167796(評価方法で結論が分かれた)
  • The Efficacy and Safety of 660 nm and 411 to 777 nm Light-Emitting Devices for Treating Wrinkles. Dermatol Surg. 2017. PMID: 28195844(無治療対照なし)
  • A home-based eyebrows lifting effect using a novel device that emits electrostatic pulses containing RF energy. J Cosmet Laser Ther. 2016. PMID: 26963615(著者全員が受託試験会社所属)
  • Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial. Ann Intern Med. 2013. PMID: 23732711

※ 本記事は情報提供を目的としたもので、特定の製品をおすすめするものではありません。 効果には個人差があります。実際の判断は主治医とご相談ください。

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※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療アドバイスではありません。 効果には個人差がございます。具体的な治療については専門医にご相談ください。

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