「角質ケア、何を選べばいいですか」
ケミカルピーリングと、物理的なスクラブ。この2つは、確かめられている量がまったく違います。
そして、ケミカルピーリングのほうにも、はっきりした空白があります。
ニキビへのケミカルピーリングについて
2023年の文献レビューが、ニキビに使われる有機酸を整理しています(PMID: 37894698・系統的レビューではなく、掲載誌も化学系です)。
そして、同じレビューが、こう書いています。サリチル酸、グリコール酸、乳酸といった酸が、その角質を剥がす作用と皮脂を調整する作用のために、一般的に用いられている。 α-ヒドロキシ酸とβ-ヒドロキシ酸は、ニキビの病変を減らし、肌全体の見た目を改善する有効性で注目を集めてきた。 有機酸に基づくケミカルピーリングは、ニキビができやすい肌をもつ人にとって、効果的かつ安全な治療選択肢である。
「何を、何%で」に、合意がありません。これらの酸が広く使われているにもかかわらず、ニキビができやすい肌の治療に最も効果的な酸の種類と濃度について、コンセンサスが存在しない。
レビューはこれを弱点としてだけでなく、「酸の選択を個々の患者の必要性と耐容性に合わせられる」という適応性の話としても書いています。
つまり——「決まった正解がないので、その人に合わせて選ぶ」領域です。
日本人の肌色では、研究が足りていません
ここが、いちばんお伝えしたい部分です。
2026年に、肌色の濃い方(Fitzpatrick IV〜VI)を対象としたケミカルピーリングのスコーピングレビューが出ています(PMID: 42306365)。
PubMedで473の研究が特定され、組み入れ基準を満たしたのは7件のみであった。 7件のうち5件がニキビとニキビ跡の治療を評価し、いずれも良好な結果と最小限の有害事象を報告した。 1件は扁平苔癬色素沈着型を扱い、有意な臨床的改善を示した。 そして1件は、不適切な使用による化学熱傷を報告したものであった。
グリコール酸やサリチル酸のような浅いピーリングは、ニキビと色素の異常に対して有望で、安全性のプロファイルも良好である。 しかし研究は、小さいサンプルサイズ、短い追跡期間、そしてFitzpatrick IV〜VIの過少代表によって限られている。
日本人の多くは、Fitzpatrick III〜IVに入ります。
つまり——「色素沈着が起きやすい肌で、どうなのか」を確かめた研究が、そもそも少ないということです。
そして、7件のうち1件が化学熱傷の報告だった——この数字は、そのまま受け止めてよいと思います。
だから、こう考えます
ピーリングは、医療機関で②のとおり、色素沈着と熱傷が、この治療の主なリスクです。肌の色調を見て、濃度と時間を決める人がいる状態で受けてください。
そして——そのシミが何かを先に決めることのほうが、順番として先です。 肝斑に不適切な刺激を加えると悪化します。シミの見分けの記事へ。
「何%が良いか」を、決め打ちしない①のとおり、コンセンサスがありません。「この濃度が正解」と言い切る説明があれば、そこは根拠を聞いてよいところです。
ニキビ跡には、組み合わせが支持されています2つのネットワークメタ解析が、そろって「単独より併用」を示しています。そのうちの1本では、マイクロニードリングとケミカルピーリングの併用が最も良い結果でした。 ダーマペンと水光注射の記事とニキビ跡の記事へ。
物理的なスクラブについて
粒子でこすって落とすタイプです。顔用のスクラブについて、バリア機能への影響をプラセボと比べた臨床試験を、今回は見つけられませんでした。
「効かない」ではありません。「確かめた報告に行き当たらなかった」という意味です。
そのうえで、言えることがあります。- 洗浄剤の刺激には根拠があります。 SLSなどの陰イオン界面活性剤は強く刺激的、両性・非イオン性はより良好な耐容性(洗顔の記事・PMID: 40795538)
- そこに物理的な摩擦が加わる、という構造です
- そして——炎症のあるニキビの上をこすると、色素沈着として残りやすくなります
「ざらつきが取れた感じ」は、確かにあります。それが何を取っているのかを、一度考えていただけたらと思います。
実際のところ
- ニキビや跡が目的なら、医療機関のピーリングのほうが、確かめられている量が多くあります
- 「何%か」より「誰が、私の肌の色を見て決めるか」のほうが、②からは重要です
- 炎症のある病変の上を、こすらない
- 赤みが残っているうちは、次を入れない(色素沈着として残る側に働きます)
- 日焼け止めを併用する。 ピーリング後は特にです。日焼け止めの記事へ
まとめ
- AHA・BHAのケミカルピーリングは、ニキビに対して効果的で安全な選択肢とされています(PMID: 37894698)
- ただし「最も効果的な酸の種類と濃度について、コンセンサスが存在しない」と明記されています
- 肌色の濃い方を対象とした研究は、473報中7報しかありません(PMID: 42306365)
- そのうち1報は、不適切な使用による化学熱傷の報告でした
- 「小さいサンプル、短い追跡、Fitzpatrick IV〜VIの過少代表」が限界として挙げられています
- 顔用スクラブのバリアへの影響を比べた臨床試験は、見つけられませんでした
- 炎症のある病変の上をこすると、色素沈着として残りやすくなります
「角質を取ること」自体は、確かめられている手段です。取り方と、誰が決めるかのほうに、まだ空白があります。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医学的判断に代わるものではありません。ケミカルピーリングは医療行為として行われるものであり、濃度や時間の設定には診察が必要です。肝斑を含む色素性の病変は、種類によって適した治療が異なります。自己判断で行わず、必ず診察を受けてください。
参考文献- A Comprehensive Bibliographic Review Concerning the Efficacy of Organic Acids for Chemical Peels Treating Acne Vulgaris. Molecules. 2023. PMID: 37894698(「酸の種類と濃度にコンセンサスがない」と明記)
- Chemical Peels in Skin of Color: A Scoping Review of Safety, Efficacy, and Practice Patterns. Cureus. 2026. PMID: 42306365(473報中7報のみ・1報は化学熱傷)
- Surfactant-containing detergents: Impacts on dermal health. Colloids Surf B Biointerfaces. 2025. PMID: 40795538
※ 本記事は情報提供を目的としたもので、特定の治療をおすすめするものではありません。 効果には個人差があります。現時点で当院はこの治療を行っておりません。 実際の判断は主治医とご相談ください。

※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療アドバイスではありません。 効果には個人差がございます。具体的な治療については専門医にご相談ください。

