「春になると、決まって肌が荒れます」
この訴えについて、日本で行われた大きな調査があります。
2026年に『Allergology International』に報告された、山梨県での4,119人を対象とした横断研究です(PMID: 42309866)。スギ花粉とヒノキ花粉の飛散期に、季節性アレルギー性鼻炎の患者さんを調べたものです。
数字を、そのまま置きます
皮膚症状を報告したのは、1,993人(48.4%)。 そのうち985人(49.4%)が、花粉の飛散期に季節性の悪化を経験していた。
顔への関与は 64.8%。 四肢または体幹への関与は 56.2%。
季節性アレルギー性鼻炎の方の、およそ半数に皮膚症状があり、そのまた約半数が花粉期に悪化していました。
論文はこれを、「sAR患者の約4分の1が、花粉飛散期に皮膚症状の季節性悪化を報告した」とまとめています。
そして、出る場所は顔がいちばん多い——「春になると顔が荒れる」という実感と、数字が合っています。
皮膚症状のある方は、鼻の症状も重い傾向
同じ研究の、もうひとつの結果です。
著者らの解釈です。逆確率重み付けで調整した解析において、以下が重症の季節性アレルギー性鼻炎と関連していた。 皮膚症状の季節性悪化(オッズ比 1.45、95%信頼区間 1.14〜1.86) 顔面への関与(オッズ比 1.47、95%信頼区間 1.12〜1.93) 中等度〜最重症の皮膚症状(オッズ比 1.35、95%信頼区間 1.02〜1.79)
これらの関連は、皮膚症状スコアで追加調整しても、実質的に変わらなかった。
これらの所見は、皮膚症状が季節性アレルギー性鼻炎の重症度の高さと関連しており、皮膚と気道の炎症の相互作用を反映している可能性を示唆する。
「肌の話」と「鼻の話」が、別々ではないかもしれない——そういう読み方ができます。
ただし、横断研究です
正確に書いておきます。- これは横断研究です。ある時点で、同時に観察したものです
- 「花粉が肌荒れを起こした」という因果関係を示すものではありません
- 皮膚症状が重いから鼻も重いのか、鼻が重い体質だから皮膚にも出るのか——この研究では分けられません
それでも、4,119人という規模で、日本のスギ・ヒノキ花粉について調べられている研究は、そう多くありません。
春の肌荒れには、他の要因も重なります
花粉だけの話ではありません。春には、いくつかの条件が同時に動きます。
- 紫外線量が増え始める時期です(日焼け止めの記事へ)
- 気温と湿度が変わります(冬の乾燥の記事に、季節でバリアが実際に変わる実測を書きました)
- 生活の変化が重なる時期でもあります(睡眠については睡眠の記事へ)
「花粉のせい」と決めてしまうと、他の手当てが遅れることがあります。
逆に、①②のような関連が実際にあるので、「気のせい」でもありません。
実際にできること
目や鼻の症状もあるなら、そちらの治療を先に相談する
②のとおり、皮膚と鼻は関連しています。耳鼻科・アレルギー科での治療が、結果として肌の側にも効く可能性があります。
そして、そちらには確立した治療があります。 物理的に、顔につく量を減らす①のとおり、顔がいちばん多く出ています。帰宅後に洗い流す、外出時にマスクやメガネを使う——確かめられた試験があるわけではありませんが、量を減らす方向であることは確かです。
こすらないかゆいところをこすると、炎症が長引き、色素沈着として残りやすくなります。洗い方については洗顔の記事とすすぎの温度の記事へ。
赤みやかゆみが続くなら、受診をアトピー性皮膚炎が花粉期に悪化する例は、症例報告もあります(PMID: 21430436・2例の症例報告で、一般化はできません)。「季節のもの」と我慢せず、一度診てもらってください。
新しい施術を、この時期に入れない炎症のある肌に刺激を足すと、色素沈着として残る側に働きます。
まとめ
- 日本(山梨)の4,119人の横断研究で、季節性アレルギー性鼻炎の方の48.4%が皮膚症状を報告(PMID: 42309866)
- そのうち49.4%が、花粉の飛散期に季節性の悪化を経験していました
- 顔への関与が64.8%——出る場所は顔がいちばん多いという結果です
- 皮膚症状の季節性悪化・顔面の関与・中等度以上の皮膚症状が、重症の鼻炎と関連していました
- 著者らは「皮膚と気道の炎症の相互作用を反映している可能性」と書いています
- ただし横断研究であり、因果関係を示すものではありません
- 春には紫外線・気温・湿度・生活も同時に変わります。 「花粉のせい」と決めきらないでください
- 鼻や目の症状もあるなら、そちらの治療を先に相談してください
「春だから」で済ませられてきた肌荒れに、4,119人分の数字がついた——それが、この研究のいちばんの意味だと思います。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医学的判断に代わるものではありません。引用した研究は横断研究であり、因果関係を示すものではありません。かゆみ・赤み・湿疹が続く場合は、皮膚科またはアレルギー科を受診してください。
参考文献- Skin symptoms during the pollen seasons and their association with the severity of seasonal allergic rhinitis in Yamanashi, Japan. Allergol Int. 2026. PMID: 42309866(4,119人の横断研究・因果ではありません)
- Cedar pollen aggravates atopic dermatitis in childhood monozygotic twin patients with allergic rhino conjunctivitis. Allergol Int. 2011. PMID: 21430436(2例の症例報告)
※ 本記事は情報提供を目的としたもので、特定の治療をおすすめするものではありません。 効果には個人差があります。現時点で当院は診療を行っておりません。 実際の判断は主治医とご相談ください。

※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療アドバイスではありません。 効果には個人差がございます。具体的な治療については専門医にご相談ください。

