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Treatment2026-05-24

ダーマペンと水光注射、どちらを選ぶか|直接比べた試験は、見つかりませんでした

Dr. みやか

Dr. みやか

9 min read

「ダーマペンと水光注射、どちらがいいですか」

この2つを直接比べた無作為化比較試験を探しましたが、見つかりませんでした。つまり、「どちらが優れているか」に、試験から出せる答えがありません。

ただし、それぞれの根拠が集まっている場所は、はっきり違います。 そこが、実際の選び方になります。


ダーマペン — 根拠は「ニキビ跡」に集まっています

ダーマペン(マイクロニードリング)は、極細の針で皮膚に微細な傷をつけ、治る過程でコラーゲンが作られることを狙う方法です。

この治療の証拠は、ニキビ跡(萎縮性瘢痕)に厚く集まっています。

2024年のネットワークメタ解析(24研究・1546人⁠)が、マイクロニードリング単独と、他の治療との組み合わせを比較しました(PMID: 39110247)。

マイクロニードリングとケミカルピーリングの併用が、改善度・患者満足度・治療効果のいずれでも最も良い結果を示した。 追加の治療と組み合わせた結果は、マイクロニードリング単独よりも明らかに良好であった。 紅斑・疼痛・炎症後色素沈着といった副反応に、治療間で有意差はなかった。

2026年には、より大きなネットワークメタ解析が出ています(56の無作為化比較試験・1488人・34の介入/PMID: 42429955)。

中等症から重症の萎縮性ニキビ跡では、併用療法が一般に単独療法を上回った。 フラクショナルCO2レーザーとサブシジョン、あるいはPRPとの併用が、最も一貫した効果を示した。 治療の選択は、瘢痕のタイプ、肌の色調(Fitzpatrick分類)、ダウンタイム、痛み、副作用のリスク、患者の希望を考慮すべきである。

2つのネットワークメタ解析が、同じことを言っています。「単独より、組み合わせ」です。

ニキビ跡そのものの分類は、ニキビ跡は3種類ある記事に書きました。どの種類かで、組み合わせる相手が変わります。

水光注射 — 根拠は「乾燥・小じわ・赤み」のほうにあります

水光注射は、非架橋のヒアルロン酸などを皮膚の浅い層に細かく注入するものです。ボリュームを出すためのフィラーとは、別のものです。

146人を対象にした、無作為化・多施設の試験があります(PMID: 37577796)。非架橋HA製剤を3回注射する群と、抗老化クリームのみの群を3:1で比較しました。

75日目・120日目に、目尻・首・デコルテの表層のしわが有意に減少し、顔の輝きのスコアも対照群より改善した。 最後の注射から7日後に、肌の水分量が有意に増加した。 有害事象の多くは軽度で、48時間以内に消失した。

ここは、正確に読む必要があります。
  • 資金提供は製剤メーカー(Laboratoires FILLMED)で、著者2名が同社所属です
  • 対照群は「クリームのみ」——注射をしない群です。 盲検化されておらず、注射を受けたかどうかは本人に分かります

もう一本、当院の領域に近い試験があります(PMID: 42087402)。ニキビが治まったあとの赤み(post-acne erythema)に対して、非架橋HAのメソセラピーを左右で比べた無作為化試験です。

25人が登録され、23人が完遂。4週間隔で3回。 12週の時点で、施術側の紅斑スコア(CEAS)が対照側より有意に低かった。 赤みの面積、毛穴、きめ、紅斑指数、肌の水分量、経表皮水分蒸散量でも、施術側の改善がより明確だった。 重篤な有害事象や紅斑の悪化はなかった。

25人・単施設です。 そして——対象は「ニキビ後の赤み」であって、ニキビそのものでも、凹んだ跡でもありません。

だから、選び方はこうなります

直接比較がない以上、「悩みがどこにあるか」で決めるのが、いちばん筋が通ります。

| 悩み | 根拠が集まっているのは | |---|---| | 凹んだニキビ跡 | ダーマペン(ただし単独ではなく、組み合わせて) | | ニキビが治まったあとの赤み | 非架橋HAのメソセラピー(25人の試験) | | 乾燥・表層の小じわ・つや | 非架橋HAの注射(146人の試験・ただしメーカー資金) | | 毛穴 | どちらの試験にも項目として登場します。毛穴の記事に、原因別の整理を書きました |

同じ「肌質改善」という言葉で呼ばれていても、確かめられている中身が違います。

カウンセリングで聞いていただきたいこと

どちらを選ぶにしても、次の点を先に決めておくと、話が具体的になります。

  • 私の悩みは、凹みですか、赤みですか、乾燥ですか(ここが決まると、選択肢が絞れます)
  • 単独ですか、何かと組み合わせますか(ニキビ跡なら、2つのネットワークメタ解析が「組み合わせ」を支持しています)
  • 何回で、いくらかかりますか(どちらも複数回が前提の治療です)
  • ダウンタイムは何日ですか(赤み・内出血の出方は、施術と部位で変わります)
  • 色素沈着のリスクは、私の肌の色調でどうですか(2026年のネットワークメタ解析が、選択時に考慮すべき要素として挙げています)

施術のあとのスキンケアについては、2026年の系統的レビューが専門家パネルの推奨をまとめています(PMID: 41773167・著者5名がGalderma社所属)。ただし著者ら自身が「特定のスキンケア習慣と、スキンケアなしを比較するよう設計された研究はごく少ない」と書いています。推奨の土台は、そこまでです。

まとめ

  • ダーマペンと水光注射を直接比べた無作為化比較試験は、見つかりませんでした
  • ダーマペンの証拠はニキビ跡に集まっており、2つのネットワークメタ解析(24研究1546人/56試験1488人)がそろって「単独より併用」を示しています(PMID: 39110247・42429955)
  • 非架橋HAの注射は、146人の試験で表層のしわと水分量の改善(PMID: 37577796)。ただしメーカー資金で、対照は注射をしない群です
  • ニキビ後の赤みには、25人の左右比較試験があります(PMID: 42087402)
  • 選び方は「どちらが優れているか」ではなく「悩みがどこにあるか」です
  • ニキビ跡を狙うなら、単独で受ける前に「何と組み合わせるか」を聞いてください

「どちらがいいですか」に、私は「何を治したいですか」とお聞きすることになると思います。そこが決まると、選択肢のほうが絞れてきます。


本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医学的判断に代わるものではありません。ニキビ跡・赤み・毛穴は原因によって適した治療が異なります。施術前に診察を受けてください。

参考文献
  • Comparing the efficacy and safety of microneedling and its combination with other treatments in patients with acne scars: a network meta-analysis of randomized controlled trials. Arch Dermatol Res. 2024. PMID: 39110247
  • Laser, Microneedling, and Combination Therapies for Moderate to Severe Acne Atrophic Scars: A Systematic Review and Network Meta-Analysis. Aesthetic Plast Surg. 2026. PMID: 42429955
  • A hyaluronic acid-based micro-filler improves superficial wrinkles and skin quality: a randomized prospective controlled multicenter study. J Dermatolog Treat. 2023. PMID: 37577796(メーカー資金・対照は注射をしない群)
  • Efficacy and Safety of Non-Cross-Linked Hyaluronic Acid Mesotherapy for Post-Acne Erythema. J Cosmet Dermatol. 2026. PMID: 42087402(n=25・単施設)
  • Concomitant Use of Dermo-Cosmetic Skin Care in Aesthetic Procedures: Systematic Review with Expert Panel Recommendations. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2026. PMID: 41773167(著者にGalderma所属者を含む)

※ 本記事は情報提供を目的としたもので、特定の治療をおすすめするものではありません。 効果には個人差があります。現時点で当院はこれらの治療を行っておりません。 実際の判断は主治医とご相談ください。

Dr. Miyaka Signature

※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療アドバイスではありません。 効果には個人差がございます。具体的な治療については専門医にご相談ください。

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