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Skincare2026-05-11

頭皮のかゆみとフケ、湿気のせいではないかもしれません|脂漏性皮膚炎という繰り返す病気の話

Dr. みやか

Dr. みやか

8 min read

「湿気の多い時期になると、頭皮がかゆくなってフケが出ます」 「シャンプーを変えてみたのですが、また戻ってしまいました」

湿度が上がると出て、乾く季節には引く。だから多くの方が「季節のせい」と考えます。

けれど、季節はきっかけであって、原因ではありません。

繰り返すかゆみとフケの多くは、脂漏性皮膚炎という名前のついた皮膚の病気です。そしてこの病気には、知っておくと付き合い方が変わる性質が2つあります。


まず、これは病気の名前がついています

脂漏性皮膚炎は、一般人口の3〜10%に見られるとされる、ありふれた慢性の皮膚疾患です。皮脂の多い部位——頭皮、生え際、眉間、小鼻の脇、耳のうしろ——に、赤みと細かい鱗屑(フケ)が出ます。

原因としては、皮膚に常在するマラセチアという酵母様真菌の関与が考えられています。ただし、炎症を起こす機序はいまだ十分に定義されていない⁠、というのが正確なところです(PMID: 26016669)。

そして、この病気のもうひとつの性質。

治療後に再発しやすい

同じ系統的レビューが、はっきりそう書いています(PMID: 26016669)。

ここが、いちばんお伝えしたいところです。 「治らないシャンプーを使い続けている」のではなく、「再発する性質の病気を、そのつど抑えている」。この理解の差が、その後の付き合い方を大きく変えます。

なぜ「湿気の季節」に悪くなるように見えるのか

マラセチアは皮脂を栄養にする常在菌です。気温と湿度が上がる時期は皮脂の分泌が増えやすく、汗で頭皮が蒸れる時間も長くなります。菌にとって条件が整うわけです。

ただし——冬に悪くなる方も、同じくらいいらっしゃいます。 乾燥でバリアが弱ると、別の経路で症状が出ます。

つまり季節は増悪因子であって、原因ではありません。 「湿気のせい」と考えていると、湿度が下がったときに治療をやめてしまい、また戻ってきます。

何が効くのか

2013年までの文献を集め、GRADEで質を評価した系統的レビュー(14件の研究)が、頭皮の脂漏性皮膚炎に対する外用治療として次のものを検討しています(PMID: 26016669)。

  • 抗真菌薬 — ケトコナゾール、シクロピロクス、ビホナゾール、テルビナフィン
  • ピリチオン亜鉛⁠、硫化セレン(市販の薬用シャンプーに配合されているもの)
  • タールシャンプー
  • 外用ステロイド — ベタメタゾン吉草酸エステル、クロベタゾール、ヒドロコルチゾン等

この並びに、「洗い方を変える」も「特定の化粧品」も入っていません。 マラセチアという菌が関与する炎症なので、抗真菌の作用を持つものが治療の柱になります。

市販の薬用シャンプーに含まれるピリチオン亜鉛や硫化セレンも、この検討対象に入っています。軽ければ、そこから始めるのは筋が通っています。 効かなければ、抗真菌薬や外用ステロイドの処方が必要になるので、皮膚科の領域になります。

生活習慣との関係 ——分かっていることと、いないこと

2024年に報告された系統的レビューが、食事・栄養・飲酒・肥満との関係を調べています。13件の研究・13,906名を集めたものです(PMID: 39102684)。

分かったこととして、次のような関連が挙げられています。

  • 脂漏性皮膚炎の方では、血清の亜鉛・ビタミンD・ビタミンEが有意に低い
  • 銅・マンガン・鉄・カルシウム・マグネシウムの濃度は有意に高い
  • 西洋型の食事は、女性でリスクが高いことと関連
  • 果物の摂取が多いことは、リスクが低いことと関連
  • 飲酒の習慣とは、多くの研究で関連が見られる
  • BMI・肥満との関係は、研究によって結果がばらばら

ここで大事なのは、これらが「相関」だという点です。 含まれた13件のうち、8件が症例対照研究、3件が横断研究で、ランダム化比較試験は2件しかありません⁠。著者ら自身が、亜鉛・ビタミンD・ビタミンEの補充が効くかどうかを調べる介入研究が必要だと述べています(PMID: 39102684)。

つまり——「亜鉛が低い人に脂漏性皮膚炎が多い」は言えても、「亜鉛を飲めば治る」はまだ言えません。 サプリメントの広告でこの順序が入れ替わっていたら、そこは疑ってください。

日々の付き合い方

  • 症状が引いても、すぐにやめない。 再発しやすい病気です。落ち着いてからも間隔を空けて続けるほうが、結果的に楽になります
  • ゴシゴシ洗っても、菌は減りません。 かゆいと強く洗いたくなりますが、傷つけると炎症が長引きます
  • すすぎ残しは避ける。 洗い方より、すすぎのほうが影響します
  • 市販の薬用シャンプーで2〜3週間試して変わらなければ、皮膚科へ。 処方の抗真菌薬や外用ステロイドが必要な段階かもしれません
  • 赤みが顔にも出ている場合は、早めに受診してください。 生え際・眉間・小鼻の脇に同時に出るのは、この病気の典型的な広がり方です

まとめ

  • 繰り返すかゆみとフケの多くは、脂漏性皮膚炎という名前のついた病気です。一般人口の3〜10%に見られます
  • マラセチアという常在菌の関与が考えられていますが、炎症を起こす機序はまだ十分に定義されていません
  • 治療後に再発しやすい性質があります。「治らない」のではなく「再発する病気を抑えている」
  • 系統的レビューが検討した治療は、抗真菌薬・ピリチオン亜鉛・硫化セレン・タール・外用ステロイド。洗い方や化粧品はこの中に入っていません
  • 季節は増悪因子であって原因ではありません⁠。湿度が下がったからと治療をやめると戻ります
  • 亜鉛・ビタミンD/Eとの関連は報告されていますが、相関であり、補充が効くかは介入研究待ちです

「体質だから」と諦めている方がいらっしゃいますが、名前のついた病気で、抑える手立てのあるものです。 ただし、一度で終わる治療ではありません。そこを最初に知っておくだけで、ずいぶん楽になります。


本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医学的判断に代わるものではありません。症状が続く場合や広がる場合は、皮膚科にご相談ください。

参考文献
  • Seborrhoeic dermatitis of the scalp. BMJ Clin Evid. 2015. PMID: 26016669
  • Nutrition, Obesity, and Seborrheic Dermatitis: Systematic Review. JMIR Dermatol. 2024. PMID: 39102684

※ 本記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品をおすすめするものではありません。 効果には個人差があります。実際の判断は主治医とご相談ください。

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※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療アドバイスではありません。 効果には個人差がございます。具体的な治療については専門医にご相談ください。

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