「コラーゲンのサプリ、飲んだほうがいいですか」
この質問への答えは、2019年と2025年でずいぶん変わりました。
そして変わった理由が、少し変わっています。新しい試験が出て結論がひっくり返った、という話ではありません。同じ試験を、資金源で分けて見直したら、結果が反転した——そういう話です。
今日は、その中身をそのままお伝えします。
まず、よくある「効かない理由」の説明について
コラーゲンサプリの話になると、必ず出てくる説明があります。
「コラーゲンはタンパク質だから、飲んでも胃腸でアミノ酸に分解される。だから肌のコラーゲンにはならない」
この説明は、半分正しくて、半分は今の理解と合っていません。
確かに、飲んだコラーゲンがそのまま肌のコラーゲンになるわけではありません。ただ、近年の研究では、消化の過程で生じるジペプチド・トリペプチドと呼ばれる小さな断片の一部が、分解されきらずに血中に現れることが報告されています。そして、それが線維芽細胞に何らかの信号として働く可能性が議論されてきました。
つまり「理屈の上ではあり得ない」とまでは言えません。 機序の議論はまだ続いています。
だからこそ、理屈ではなく、人で測った結果を見る必要があります。
2019年の時点では「有望」でした
まず、以前の到達点を確認しておきます。
2019年に報告された系統的レビューは、11件の試験・805名を集めました。コラーゲン加水分解物を1日2.5〜10g、8〜24週間使った研究などが含まれ、褥瘡、乾燥肌、皮膚老化、セルライトが対象でした。
結論は、「予備的な結果は有望である」というもの。皮膚の弾力・水分量・真皮のコラーゲン密度の改善が報告され、安全性については有害事象の報告がないとされました(PMID: 30681787)。
この時点では、「まだ確定ではないが、期待は持てる」という位置づけでした。
2025年のメタ解析が、資金源で切り分けました
そして2025年、内科の総合誌に報告されたメタ解析が、23件のランダム化比較試験・1,474名を統合しました。
この研究がそれまでと違ったのは、「資金源」と「研究の質」で分けて解析した点です。著者らは、そこが結果に影響しうると考えました。
結果は、次のとおりです。
① 23件すべてをまとめた場合肌の水分量、弾力、シワのすべてで、有意な改善
② 製薬企業から資金提供を受けていない研究だけを見た場合
③ 資金提供を受けた研究だけを見た場合水分量、弾力、シワのいずれにも効果なし
有意な効果あり④ 質の高い研究だけを見た場合
すべての項目で有意差なし(質の低い研究では、弾力のみ有意な改善)
著者らの結論は、次の一文です。
「現時点で、皮膚老化の予防または治療のためにコラーゲンサプリメントの使用を支持する臨床的な根拠はない」
(PMID: 40324552)
この結果を、どう読むか
これは「コラーゲンサプリは詐欺だ」という話ではありません。 そこは正確に受け取っていただきたいところです。
起きているのは、もっと地味で、もっと根の深いことです。
効果を報告した研究には、企業のお金が入っている傾向があった。 資金提供を受けた研究が捏造をしているという意味ではありません。研究の設計、評価項目の選び方、結果の出し方、そして思わしくない結果が出たときに発表されるかどうか——そういう段階で、少しずつ差がつきます。
そして質の高い研究に絞ると、全項目で差が消えた。これが、いちばん重い部分だと考えています。
サプリメントの領域では、この構図はコラーゲンに限りません。「効果を示す研究がある」と「効果がある」のあいだには、資金源と研究の質という2つの関門があります。
では、飲む意味はないのか
ここは、はっきりお伝えします。
- 皮膚老化の予防・治療を目的として飲むのであれば、現時点でそれを支持する根拠はありません
- 安全性については、これまで有害事象の報告は乏しく、害の少ないサプリメントです
- タンパク質の摂取量が足りていない方が、その一部として摂ることには別の意味があります。ただしそれは「コラーゲンだから」ではなく、タンパク質だからです
つまり、「飲んではいけない」ではなく、「肌のためという理由づけには、いま根拠がない」ということです。
そのうえで、こう考えていただくのが現実的だと思います。同じ金額と同じ手間を、どこに置くか。 日焼け止めを毎日きちんと使うこと、睡眠を確保すること、必要ならレチノイドを続けること——これらは、コラーゲンサプリよりもはっきりした根拠を持っています。
「効果を実感している」という感覚について
「でも、飲み始めてから調子がいい気がします」
その感覚を否定するつもりはまったくありません。
ただ、肌の状態は季節、睡眠、体調、化粧品、そして自分の肌をよく見るようになったこと自体で変わります。サプリを飲み始めた方は、たいてい同時に肌への関心も上がっています。プラセボ対照試験が必要なのは、まさにこの部分を切り分けるためです。
そして質の高いプラセボ対照試験に絞ると、差は出ませんでした。
まとめ
- 2019年の系統的レビュー(11件・805名)では「予備的な結果は有望」とされていました
- 2025年のメタ解析(23件のRCT・1,474名)は、全体では有意な改善を示しました
- しかし製薬企業の資金提供を受けていない研究に限ると、水分量・弾力・シワのいずれにも効果はありませんでした
- 質の高い研究に限っても、すべての項目で有意差なし
- 著者らの結論は「皮膚老化の予防・治療を支持する臨床的根拠はない」
- 安全性は良好で、害の少ないサプリメントです。飲んではいけない、という話ではありません
「効果を示す研究がある」——この言葉を見たときに、誰がその研究にお金を出したのかを一度考えてみる。 それが、この一件から持ち帰っていただきたいいちばんのことです。
これはコラーゲンに限った話ではありません。サプリメントの記事を読むときの、汎用の物差しになります。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医学的判断に代わるものではありません。持病がある方、服薬中の方は、サプリメントの併用について主治医にご確認ください。
参考文献- Effects of Collagen Supplements on Skin Aging: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Am J Med. 2025. PMID: 40324552
- Oral Collagen Supplementation: A Systematic Review of Dermatological Applications. J Drugs Dermatol. 2019. PMID: 30681787
※ 本記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品をおすすめするものではありません。 効果には個人差があります。実際の判断は主治医とご相談ください。

※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療アドバイスではありません。 効果には個人差がございます。具体的な治療については専門医にご相談ください。

