「シートマスク、長く貼っていたほうが潤いますよね」 「毎日使っているのですが、良くないと聞いて不安になりました」
この分野は、驚くほどデータがありません。シートマスクの市場は年8.5%で成長しているとされます。それだけ使われているのに、人での比較試験はごくわずかです。「毎日使うと逆効果」という話も、よく目にはするものの、それを直接確かめた比較試験を私は挙げられません。
そのうえで、装着時間について調べた試験が一つあります。今日はその中身を、限界も含めてお伝えします。
28人に、3種類のマスクを、4つの時間で
2024年に報告された無作為化比較試験です。28名の健康な参加者を対象に、次を組み合わせて肌の変化を測定しました。
- マスクの種類: 純水、ヒアルロナン、ビフィダ発酵溶解質の3種
- 装着時間: 5分、15分、25分、40分の4通り
測定したのは、水分量、経皮水分蒸散量(TEWL)、皮脂量、角層細胞のサイズ、そしてアクアポリン3(水の通り道になるタンパク質)の発現です。
結果は、直感に反するものでした。
水分量と経皮水分蒸散量は、最初に上昇し、その後低下した。
皮脂はすべての種類で増加し、特に40分後に顕著だった。
血管の拡張とアクアポリン3の発現は、装着時間と関連していた。角層細胞のサイズは変化しなかった。
主な有害反応は、赤み10.71%と乾燥57.14%(いずれも28名中)。特に25分を超えた純水マスクで目立った。
著者らの結論は、「短時間(25分未満)の使用は保湿の改善・赤みの軽減などの利益があるが、長時間の使用は乾燥と赤みの増加につながる」というものでした(PMID: 38951050)。
この試験には、読むときに差し引くべき点があります。 著者のうち3名が、化粧品会社(Guangzhou YueHui Cosmetics)に所属しています。利益相反の向きとしては、シートマスクを肯定しやすい側です。それでもなお「長時間は乾燥が増える」という結果が出ている点は、逆に重く受け取ってよいと考えています。
なぜ「長く貼ると乾く」のか
一見おかしな話に思えますが、機序としては筋が通ります。
シートで肌を覆っているあいだ、角層は水を含んで膨らみます。これが「潤った」感覚の正体です。問題は、はがしたあとです。
過剰に含んだ水は、はがした瞬間から一気に蒸発していきます。そのとき、角層にもともとあった水分や、水を抱える成分も一緒に持っていかれます。濡れた手をそのままにしておくと、かえってカサつくのと同じことが起きます。
上の試験で経皮水分蒸散量が「最初に上がって、その後下がった」というのも、この時間経過と整合します。
実際にどうするか
この試験から言えることは、実はとてもシンプルです。
- 貼る時間は、製品の表示どおりに。 多くの製品が10〜15分と書いています。あれは控えめに書いてあるのではなく、そこが上限です
- 25分を超えない。 試験で乾燥と赤みが目立ったのは、そこから先でした
- 「寝ながらパック」はしない。 数十分どころか数時間になります
- はがしたら、すぐ蓋をする。 乳液やクリームで覆わないと、含ませた水はそのまま出ていきます
- ヒリつく日は使わない。 バリアが弱っているときに閉塞をかけると、悪化することがあります
「毎日使ってよいか」については
ここは、正直にお伝えします。
毎日の使用が肌に悪いことを示した比較試験を、私は挙げられません。 上の試験が調べたのは装着時間であって、使用頻度ではありません。
そのうえで、機序として言えることはあります。この試験で示された変化(水分量の上下、皮脂の増加、血管の拡張、乾燥と赤み)は、1回ごとに起きるものです。 それを毎日繰り返す意味があるかどうかは、時間の使い方の問題でもあります。
私の考えとしては——毎日の枠に入れるなら、シートマスクより先に、日焼け止めと保湿剤を確実にするほうが効きます。 シートマスクは、乾燥が気になる日や、特別な日の前に使う道具として置くのが、いちばん収まりが良いと思います。
まとめ
- この分野は、人での比較データが非常に少ないというのが出発点です
- 28名の無作為化比較試験で、水分量と経皮水分蒸散量は最初に上がり、その後下がりました
- 皮脂はすべてのマスクで増加、特に40分後
- 有害反応は赤み10.71%、乾燥57.14%。特に25分を超えた純水マスクで目立ちました
- 著者らの結論は「25分未満は有益、長時間は乾燥と赤みが増える」
- この試験の著者3名は化粧品会社に所属しています。それでもこの結果です
- 毎日の使用が悪いことを示した試験は、挙げられません。 頻度ではなく、時間を守ることが確かめられている部分です
「長く貼るほど良い」は、少なくともこの試験では逆でした。表示された時間を守る。それだけで、いちばん避けたい結果は避けられます。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医学的判断に代わるものではありません。刺激を感じる場合は使用を中止し、症状が続く場合は皮膚科にご相談ください。
参考文献- Short-term skin reactions and changes in stratum corneum following different ways of facial sheet mask usage. J Tissue Viability. 2024. PMID: 38951050
※ 本記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品をおすすめするものではありません。 効果には個人差があります。実際の判断は主治医とご相談ください。

※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療アドバイスではありません。 効果には個人差がございます。具体的な治療については専門医にご相談ください。

