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Treatment2026-08-25

ニキビの薬、なぜ「抗菌薬だけ」ではいけないのか

Dr. みやか

Dr. みやか

5 min read

あなたへ

ニキビで受診して、抗菌薬の塗り薬をもらった。よく効いた。だから、また悪くなったら塗る——そんなふうに、何年も同じ薬を使い続けていませんか。

実はいま、この「使い方」が、世界的に見直されています。

理由はふたつあります。ひとつは、抗菌薬だけでは、ニキビの原因の一部にしか届かないこと。もうひとつは、長く使い続けると、菌が薬に慣れてしまうことです。

今日は、少し踏み込んでお話しさせてください。知っていただくと、治療の見え方が変わると思います。

まず、お伝えしたい大切なこと

  • ニキビには、複数の原因が同時に関わっています
  • 抗菌薬が届くのは、そのうちの一部です
  • 抗菌薬を単独で長く使うと、効かない菌が育ちます
  • だから、作用の違う薬を組み合わせるのが、いまの標準です
  • そして、抗菌薬は期間を決めて終えるもの。「ずっと使う薬」ではありません

美しさを紐解く、専門医の視点

ニキビの原因は、ひとつではありません

ニキビができるまでには、いくつもの段階があります。

皮脂が増える。毛穴の出口が詰まる。詰まったところで菌が増える。そして炎症が起きる。この4つが、鎖のようにつながっています。

抗菌薬が働くのは、このうち「菌が増える」ところです。とても大事な役割ですが、毛穴の詰まりそのものには届きません。

だから、抗菌薬だけを使っていると——赤い炎症は引くけれど、また新しいニキビができる。この繰り返しになります。 詰まりが残ったままだからです。

★菌が、薬に慣れていきます

こちらのほうが、実は深刻な話です。

ニキビに関わる菌は、抗菌薬に長くさらされると、その薬が効かない性質を獲得します。 そして近年の研究で分かってきたのは、その「効かない性質」が、菌から菌へ受け渡されるということです。

つまり、ひとりの中で起きた変化が、そこにとどまらない可能性がある。日本国内でも、耐性を持つ菌の割合が年々増えていることが報告されています。

これは、その方個人の治療がうまくいかなくなるという話にとどまりません。だからいま、世界中のガイドラインが「抗菌薬の単独使用は避ける」と明記しています。

組み合わせると、両方が解決します

では、どうするか。作用のしくみが違う薬を、一緒に使います。

毛穴の詰まりを正す働きを持つ薬。菌を減らす働きを持つ薬。そして——菌が耐性を獲得できないタイプの薬があります。

このタイプの薬は、菌の特定の部分を狙うのではなく、菌の構造そのものを壊します。 狙いどころが決まっていないので、菌の側も「かわしかた」を進化させることができない。実際、長く使われてきましたが、耐性菌の報告がありません。

これを一緒に使うことで、耐性菌が育つのを防げます。

そして、抗菌薬は「終える」薬です

抗菌薬は、燃えている火を消す消火剤です。 火が消えたら、消火剤は片付けます。

いまの標準では、抗菌薬を使う期間には上限があります。 炎症が落ち着いたら、抗菌薬は外して、詰まりを防ぐ薬だけを続ける——この形に切り替えます。

「治ったのに、続ける」ことに意味があります

ここが、いちばん誤解されやすいところかもしれません。

赤いニキビが消えた状態は、ゴールではありません。 肌の内側には、まだ目に見えない小さな詰まりが残っています。ここでケアを完全にやめると、数週間から数ヶ月で、また戻ってきます。

だから、炎症が引いたあとも、詰まりを防ぐ薬は続けます。 これを「維持療法」と呼びます。実際に、続けた場合と続けなかった場合を比べた研究があり、再発するまでの期間に、はっきりした差が出ています。

ニキビは、高血圧や喘息と似た、慢性の状態です。よくなった状態を保つケアが要る。そう考えていただくと、腑に落ちるかもしれません。

あなたの不安に寄り添って

Q. 昔もらった抗菌薬が残っています。使っていいですか?

お勧めしません。 単独で使うことになりますし、いつのものか分からない薬を自己判断で使うのは、耐性菌の観点からも避けたいところです。もったいなく感じられるかもしれませんが、ここは相談してください。

Q. 塗り薬がしみて、続けられません

これはとても多いご相談です。そして、やめてしまう方の多くが、最初の1〜2週間でやめています。

実は、始めかたに工夫があります。 毎日ではなく2日に1回から始める、保湿してから塗る、塗る面積を少しずつ広げる——こうした方法で、続けられるようになる方がたくさんいらっしゃいます。

赤みや皮むけは、多くの場合「効いているサイン」でもあります。 そして数週間で落ち着いてきます。つらい時期を、どう越えるか。 そこを一緒に設計させてください。

Q. 治ったら、いつまで続ければいいですか?

これはお一人ずつ違います。ただ、「治ったからすぐ終わり」ではないとだけ、覚えておいてください。減らし方も含めて、診察で相談しながら決めていきましょう。

Q. 飲み薬のほうが効きますか?

炎症が強いときには、飲み薬が力を発揮します。ただし飲み薬にも、同じ「期間の上限」の考え方があります。強い時期に短く使って、落ち着いたら塗るケアに移す。この順番が基本です。

最後に、心を込めて。

「ずっと同じ薬を塗っているけど、よくならない」というご相談を、本当によく受けます。

それは、あなたのせいではありません。 使い方の設計が、いまの考え方と合っていないだけのことが多いのです。

ニキビの治療は、この10年で大きく変わりました。組み合わせて、期間を決めて、終わったあとを守る。 この順番で組み直すだけで、変わる方がたくさんいらっしゃいます。

いまの治療に納得がいかないと感じていらっしゃるなら、一度、整理してみませんか。

Dr. Miyaka Signature

※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療アドバイスではありません。 効果には個人差がございます。具体的な治療については専門医にご相談ください。

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