← Journal
Inner Care2026-08-28

妊娠中のニキビ、使えるお薬・避けたいお薬。皮膚科医が整理しました

Dr. みやか

Dr. みやか

6 min read

あなたへ

妊娠が分かってから、肌が急に荒れ始めた。今まで使っていたスキンケアを続けていいのか分からない。調べても「妊娠中は控えましょう」としか出てこない——。

そんなふうに、行き場のない気持ちで検索していらっしゃる方に向けて書いています。

先にお伝えしておきます。妊娠中でも、できることはあります。 ただ、日本語で書かれた情報が本当に少ないので、「何も使えないのかも」と思わされてしまう。今日はそこを、できるだけ整理してお伝えします。

まず、お伝えしたい大切なこと

  • 妊娠中のニキビは、ホルモンの変化そのものが背景にあります。ケアが足りなかったせいではありません
  • 塗るお薬には、妊娠中も選べるものがあります
  • 飲むお薬にも、比較的使いやすいとされているものがあります
  • 一方で、はっきり避けるべきものもあります。ここは知っておいてください
  • 美容施術については、「危ない」というより「調べられていない」ものが多い、というのが実情です

美しさを紐解く、専門医の視点

なぜ、妊娠中に悪化するのか

妊娠中はホルモンの状態が大きく変わります。その影響で皮脂の分泌が増えたり、毛穴の出口が詰まりやすくなったりします。加えて、つわりで食事が偏る、睡眠が浅くなる、といった条件も重なります。

あなたのケアが悪かったわけではありません。 ここは、いちばん最初にお伝えしたいことです。

塗るお薬について

妊娠中も選択肢として挙げられているものが、いくつかあります。ニキビによく使われる塗り薬の中には、妊娠中の使用が問題視されていないものがあり、実際に海外の診療の場でも用いられています。

一方で、塗るタイプのビタミンA系(レチノイド)については、避けることが一般的です。塗り薬から体に入る量はごくわずかですが、飲むタイプで胎児への影響がはっきりしているため、念のため慎重に扱われています。

シミの治療で使われるハイドロキノンも、妊娠中は避けるのが一般的です。理由は、皮膚から吸収される割合が高いためです。

飲むお薬について

絶対に避けなければならないものがあります。 飲むタイプのビタミンA系の薬(ニキビの内服薬として使われるもの)と、ホルモンに働きかけるタイプの薬です。妊娠中の使用は認められていません。

抗生物質については、グループによって扱いが分かれます。妊娠中に避けたほうがよいとされているグループと、比較的使いやすいとされているグループがあります。自己判断で市販薬や以前の残薬を使わず、必ず相談してください。

美容施術について

ここは、正直にお伝えしたいところです。

「危険だと分かっている」わけではありません。「調べられていない」のです。

妊娠中の方に美容施術の臨床試験を行うことは、倫理的にできません。だから比較試験のデータが存在しない。データがないものについて「安全です」とは言えないので、専門家は「延期を勧める」と書くことになります。

そのうえで、比較的情報が積み上がっているものもあります。ごく軽い処置や、一部のピーリングについては、大きな懸念の報告がありません。逆に、注入系・レーザー・医療脱毛などは、妊娠中は延期することが勧められています。

日焼け止めは、むしろ続けてください

妊娠中は、シミや肝斑が濃くなりやすい時期です。そして紫外線対策は、妊娠中も安心して続けられるケアのひとつです。

「妊娠中は何もしないほうがいい」と考えて日焼け止めまでやめてしまう方がいらっしゃいますが、これは逆効果です。 産後に残る色ムラを、いま防いでおくことができます。

あなたの不安に寄り添って

Q. 妊娠に気づく前に、施術を受けてしまいました

まず、過度に心配なさらないでください。

塗るお薬や軽い処置については、大きな懸念の報告はありません。注入系についても、妊娠初期に受けた方のデータがまとめられていて、明らかにリスクが高まるという結果は出ていません。

ただし「安全だと証明された」わけでもありません。だからこそ、分かっている範囲を正確にお伝えするのが、私たちの役目だと思っています。不安が残る場合は、産科の先生にもぜひ共有してください。

Q. 市販のスキンケアはどう選べばいいですか?

成分表示を確認していただくのがいちばん確実ですが、判断に迷ったら現物か写真を持って相談に来てください。 「これは大丈夫、これは妊娠中は避けましょう」と、一緒に見ていくのがいちばん早いです。

Q. 産後になれば、また使えるようになりますか?

多くはそうです。ただし授乳中は、妊娠中とはまた基準が変わります。 授乳中のほうが選べるものが増える一方で、別の注意が必要になるものもあります。その時期になったら、改めて整理しましょう。

Q. 跡が残るのが心配です

その心配は正しいです。炎症が長引くほど、跡は残りやすくなります。 「妊娠中だから我慢」で放置するのがいちばん避けたい選択です。

使えるものを使いながら、炎症を長引かせない。それが、産後の肌をいちばん守ります。

最後に、心を込めて。

妊娠中は、自分のことを後回しにしてしまいがちな時期です。「赤ちゃんのためだから、私は我慢しよう」と考えてしまう方が、本当に多い。

でも、鏡を見るのがつらい毎日を10ヶ月続けることは、我慢の対象ではないと思っています。できることを、できる範囲で。それは赤ちゃんのためにならないことでは、決してありません。

情報が少ない領域だからこそ、丁寧にお答えします。どうぞ聞いてください。

Dr. Miyaka Signature

※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療アドバイスではありません。 効果には個人差がございます。具体的な治療については専門医にご相談ください。

Stay Connected

日々の気づきや、論文から見えてきた新しい美しさのヒントを、Instagram と 公式LINE でお届けしています。