あなたへ
肌の治療がようやく落ち着いてきて、そろそろ妊活を、と考えていらっしゃる方へ。
ひとつだけ、先にお伝えしておきたいことがあります。
いま使っているお薬の中には、妊娠が分かった時点で、すぐにやめなければならないものがあります。 そしてその多くは、「やめたら元に戻る」タイプのお薬です。
つまり何が起きるかというと——妊娠が分かって薬をやめる、そこから肌が悪化する、でも妊娠中は使える治療が限られている。いちばん心が揺れる時期に、鏡を見るのがつらくなる。
これは、避けられる展開です。始める前に、治療を組み替えておけばいいのです。
まず、お伝えしたい大切なこと
- 妊娠中は、ホルモンの変化そのものが肌に影響します。もともと悪化しやすい時期です
- 内服のお薬には、妊娠中に使えないものがいくつかあります
- 塗るお薬にも、避けたほうがよいとされているものがあります
- だからこそ、妊活に入る前に、続けられる治療へ移しておくことに意味があります
美しさを紐解く、専門医の視点
妊娠中に使えなくなるもの
代表的なのは、飲むタイプのニキビ治療薬です。特に、赤ちゃんへの影響がはっきりしているお薬については、妊娠中の使用が認められていません。妊娠を考え始めた時点で、やめる時期を計画する必要があります。
ホルモンに働きかけるお薬も同じです。大人のニキビでよく使われるタイプのものは、妊娠中は使えません。低用量ピルも当然、妊活に入れば中止します。
そして意外と知られていないのが、飲む抗生物質の一部です。妊娠中に避けたほうがよいとされているグループがあり、逆に、妊娠中でも比較的使いやすいとされているグループもあります。
やめたときに、何が起きるか
これらのお薬は、症状を抑えている間だけ効いているものがほとんどです。原因そのものを消してしまうわけではありません。
だから、中止すると再燃することがあります。しかも妊娠初期は、つわりで食事が偏ったり、生活のリズムが崩れたりする時期でもあります。条件が重なるのです。
だから、順番を変えます
私がお勧めしたいのは、妊活を始める段階で、「妊娠しても続けられる治療」に軸を移しておくことです。
具体的には、飲むお薬に頼っている部分を、塗るケアと生活の整えに置き換えていく。時間をかけて、少しずつ。妊娠が分かったその日にすべてを切り替えるのではなく、もう切り替え終わっている状態で妊活に入る、という順番です。
★この「順番」だけで、妊娠中の肌の悩みは、かなり変わります。
あなたの不安に寄り添って
Q. どのくらい前から準備すればいいですか?
お薬の種類によります。ものによっては、やめてから一定の期間をあけることが必要なものもあります。「妊活を考え始めたら、まず相談する」——このタイミングがいちばん確実です。
「まだ具体的じゃないから」と思われるかもしれませんが、具体的になる前だからこそ、余裕をもって組み替えられます。
Q. 妊娠中は、何もできなくなるのですか?
いいえ、そんなことはありません。塗るケアには、妊娠中も選べるものがあります。飲むお薬にも、妊娠中に比較的使いやすいとされているものがあります。
「できることが限られる」のであって、「何もできない」わけではありません。 ここは誤解されやすいところなので、はっきりお伝えしておきます。
Q. 妊娠中に悪化してしまったら、我慢するしかないですか?
我慢しなくていいです。むしろ、我慢しないでください。
炎症を長引かせると、あとに跡が残ることがあります。妊娠中だからと放置して、産後に「跡だけが残った」となるのは、いちばん避けたい結末です。使えるものはありますので、遠慮なくご相談ください。
Q. 授乳中はどうなりますか?
妊娠中とは、また少し基準が変わります。授乳中のほうが選べる幅が広いものもあれば、逆に注意が要るものもあります。それぞれ別に考える必要があるので、その時期になったら改めてご相談ください。
最後に、心を込めて。
妊活の時期は、体のことも、気持ちのことも、考えることが本当にたくさんあります。その中で肌のことまで悩まなくていいように、先回りしておけることは、先回りしておきたい。
「妊娠したらどうなりますか」と聞いてくださる方に、私はいつも同じことをお伝えしています。その質問をしてくださった時点で、いちばん大事な準備は始まっています、と。
どうぞ、遠慮なく聞いてください。一緒に考えさせてください。

※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療アドバイスではありません。 効果には個人差がございます。具体的な治療については専門医にご相談ください。


