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Skincare2026-06-17

肌のターンオーバーは28日ではありません|実測した論文では、39日でした

Dr. みやか

Dr. みやか

8 min read

「肌は28日で生まれ変わる」

とてもよく聞く数字です。そして、この数字を実測した論文を探すと、別の数字が出てきます。


実測した研究には、39日と書かれています

1984年に『Journal of Investigative Dermatology』に載った、正常なヒト表皮の細胞増殖を調べた研究です(PMID: 6725985)。

トリチウム標識したチミジン(分裂中の細胞のDNAに取り込まれる目印)とオートラジオグラフィという手法で、細胞がどこで生まれ、どう移動し、いつ剥がれるかを追ったものです。

表皮組織全体の平均ターンオーバー時間は、39日である。

増殖する層の細胞周期は311時間⁠。 増殖層・分化層・角層それぞれの1日あたりの細胞の入れ替わりは、1mm²あたり1246・1417・1490個と、ほぼ揃っていた。

3つの層の入れ替わり速度がほぼ同じ——つまり、生まれる数と剥がれる数が釣り合っている、ということです。その全体を通り抜けるのに、39日。

「28日」ではありませんでした。

なぜ28日という数字が広まったのか

正直に書きます。「28日」の一次資料を、私は特定できませんでした。

考えられるのは、「増殖する層で生まれてから角層に達するまで(約14日)+角層を通り抜けて剥がれるまで(約14日)」という説明が、月経周期の28日と重なって覚えやすかった、という経緯です。ただしこれは、私の推測です。

確かなのは、①の実測値が39日だということだけです。

数字よりも、大事なこと

同じ研究に、もうひとつ数字が載っています。

乾癬(かんせん)の患者の皮膚では、細胞周期が36時間であった。 正常の311時間の、8分の1以下である。

同じ「表皮」でも、状態によって8倍違います。 そして、この研究はこうも書いています。

乾癬の患者の、見た目は正常な皮膚でも、標識率の平均は4.2%と、正常な表皮(2.7%)より約50%高かった。

見た目が正常でも、速さは違っていた——ここがいちばん大事だと思っています。

「あなたのターンオーバーは何日ですか」に、一つの数字で答えることはできません。

だから、こう言い換えます

「28日で生まれ変わる」という言い方には、2つの含みがあります。

①1か月経てば、肌は入れ替わっている ②だから、1か月で効果が出るはずだ

①は、実測より短めです。39日という数字のほうが、実測に近い。

②のほうが、実際の困りごとにつながります。

「1か月使ったのに変わらない」という判断は、早いということです。表皮が一巡するだけで、およそ39日。そして真皮のコラーゲンは、表皮よりずっと遅い時間軸で動きます。

だから、記事に出てくる試験の期間を見ると、8週・12週・16週が多くなります。

  • 外用ビタミンCの系統的レビューは「目に見える変化には長期の使用が必要かもしれない」と書いています(ビタミンCの記事
  • 飲むものの試験は8〜12週で見ています(飲む保湿の記事
  • LEDの試験も8週・12週・16週の各時点で評価しています(家庭用美顔器の記事

研究者が2〜4か月見ているものを、2週間で判断する。ここが、実際にいちばん起きているずれだと思います。

「ターンオーバーを早める」について

「ターンオーバーを早めて、シミを追い出す」——この言い方も、よく見かけます。

③で見たとおり、ターンオーバーがいちばん速い状態は、乾癬です。

速ければよい、というものではありません。 角層は、通り抜ける時間があって初めて、バリアとして完成します。

外用のレチノイドなどが角化のプロセスに働くのは事実ですが、それは「早く回す」というより「詰まりを解く」に近い働きです。

そして——シミは、種類によって仕組みが違います。 「ターンオーバー」の一言では扱えません。シミの見分けの記事に、そこを分けて書きました。

まとめ

  • 実測した研究では、正常な表皮の平均ターンオーバー時間は39日でした(PMID: 6725985)
  • 「28日」の一次資料は、特定できませんでした
  • 同じ研究で、乾癬の細胞周期は36時間⁠。正常の311時間の8分の1以下です
  • 乾癬の方の「見た目は正常な」皮膚でも、標識率は約50%高い——見た目と速さは一致しません
  • 「あなたのターンオーバーは何日か」に、一つの数字では答えられません
  • 実際に効いてくるのは、「1か月で判断するのは早い」ということのほうです
  • 速ければよい、ではありません。 いちばん速い状態は、病気の状態です

「28日」は、覚えやすい数字です。ただ、その数字のせいで、1か月で見切ってしまうことがあるとしたら——そちらのほうが、もったいないと思います。


本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医学的判断に代わるものではありません。引用した研究は1984年のもので、対象は限られた人数です。皮膚の状態には個人差があります。

参考文献
  • Cell proliferation in normal epidermis. J Invest Dermatol. 1984. PMID: 6725985

※ 本記事は情報提供を目的としたもので、特定の製品や治療をおすすめするものではありません。 効果には個人差があります。実際の判断は主治医とご相談ください。

Dr. Miyaka Signature

※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療アドバイスではありません。 効果には個人差がございます。具体的な治療については専門医にご相談ください。

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