Dear You,
梅雨の時期、こんなふうに感じることはありませんか。
「湿度は高いはずなのに、頬はカサつく」 「Tゾーンはベタベタなのに、口まわりは粉をふく」
同じ肌の上で、正反対のことが同時に起きている。不思議ですよね。
こうした状態に「湿度脱水」といった名前をつけて説明されることがありますが、そういう医学的な用語があるわけではありません。今日は、実際に何が起きているのかを、順を追ってお話ししたいと思います。
まず、湿度が高いと肌の水分は「減りにくい」
肌のバリアの働きを調べるとき、経表皮水分蒸散量(TEWL)という指標が使われます。肌の表面から、どれだけ水分が蒸発して逃げているかを測ったものです。
2018年に発表された測定法の総説では、この値が周囲の湿度・温度・空気の流れによって左右されること、そして汗腺の活動や皮膚の温度にも影響されることが説明されています。だからこそ、研究では環境条件をそろえて測る必要がある、と。
ここで大事なのは、湿度が高い環境では、肌から水分が逃げていく勢いはむしろ弱まるということです。空気がすでに水分を多く含んでいるのですから、当然と言えば当然ですね。
つまり、「湿度が高いから肌が乾く」というのは、仕組みとして逆向きなのです。
では、なぜ乾いていると感じるのか
原因は、湿度そのものではなく、梅雨の時期に一緒に起きている別のことにあります。
エアコンと除湿。 梅雨どきは冷房や除湿を使う時間が一気に増えます。除湿された室内の空気は、外の湿度とはまったく別物です。屋外は湿っていても、あなたが一日の大半を過ごす場所は乾いている、ということが起こります。
汗そのものの刺激。 汗には塩分や尿素、乳酸が含まれています。汗をかいたまま長く肌にとどめておくと、これらが刺激になって、かゆみや赤みにつながることがあります。「潤っているはずなのにヒリヒリする」の正体は、しばしばこれです。
洗いすぎ。 ベタつきが気になると、洗顔の回数が増え、洗浄力の強いものを選びがちになります。皮脂を落としすぎれば、当然バリアの働きは落ちます。ベタつきへの対処が、乾燥をつくっているという構図です。
皮脂と水分は別のもの。 Tゾーンがテカるのは皮脂が多いから。頬がカサつくのは水分が保てていないから。この二つは独立して起こるので、同じ顔の上で同時に成り立ちます。矛盾ではなく、単に別々の現象です。
この時期にしていただきたいこと
汗はためない、こすらない。 かいた汗は、押さえるように拭き取ってください。ゴシゴシこすると、それ自体が刺激になります。ハンカチやタオルでそっと押さえるだけで十分です。
洗いすぎない。 ベタつくからといって、洗顔の回数を増やさないでください。皮脂は落としすぎると、かえって出やすくなります。
ベタついていても、保湿は続ける。 ここが一番間違えやすいところです。テカりが気になると保湿を減らしたくなりますが、皮脂と水分は別のもの。さっぱりした感触の保湿剤に替えるのはよいのですが、やめてしまわないでください。
エアコンの風を、直接顔に当てない。 送風の向きを変えるだけで、ずいぶん違います。
おわりに
「湿度が高いのに乾く」という感覚は、決して気のせいではありません。ただ、その原因は湿度そのものではなく、冷房・汗・洗いすぎといった、もっと身近なところにありました。
原因の見当が違うと、対策も的を外れてしまいます。この時期の肌のゆらぎに、少しでも心当たりがあれば、まずは「洗いすぎていないか」を振り返ってみてください。そこがいちばん、変えやすい場所だと思います。
赤みやかゆみが強い、湿疹が続くといったときは、ご自身のケアだけで様子を見ずに、皮膚科でご相談くださいね。
参考文献
- Research Techniques Made Simple: Transepidermal Water Loss Measurement as a Research Tool J Invest Dermatol. 2018. PMID: 30348333
※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療アドバイスではありません。 効果には個人差がございます。具体的な治療については専門医にご相談ください。

